『パリ・貧困と街路の詩学
——1930年代外国人芸術家たち』
発行年 | 1998年(500頁) |
出版社 | 都市出版 |
著者 | 今橋映子(単著) |
1930年代、ナチズムと大恐慌の時代、あえて政治参加を拒んだ外国人芸術家たちは、無国籍都市パリの街路に何を見たのか? 比較文学比較文化の方法を駆使し、多国籍の作家、画家や写真家を横断して、パリという都市の隠された意味と造形された神話を探求する。
ベンヤミン(独)、フィッツジェラルド(米)、ミラー(米)、ブラッサイ(トランスシルヴァニア)、佐伯祐三(日)、オーウェル(英)、ヨーゼフ・ロート(オーストリア)、金子光晴(日)——。従来「不毛の時代」と呼ばれた1930年代の文学、芸術に新たな視座を確立する試み。
目次
プロローグ 宴のあと——フィッツジェラルド『バビロン再訪』
第Ⅰ部 亡命地パリの意味
第1章
1930年代への光——無国籍都市パリ
第2章
ナチズムの台頭——亡命地の意味
第3章
危機の時代と「都市論」——亡命者ベンヤミン
第Ⅱ部 街路・都市・写真
第4章
フォト・ジャーナリズムの光芒——アンドレ・ケルテス
第5章
パリの眼——ミラー/ブラッサイ
第6章
都市の痕跡と写真——ブラッサイ『落書き』
第7章
壁の街・文字の音——佐伯祐三
第Ⅲ部 貧困という制度
第8章
貧困という制度——オーウェル『パリ・ロンドン どん底生活』
第9章
浮浪者の哲学——ヨーゼフ・ロート『聖なる酔っぱらいの伝説』
エピローグ 物語られた「時代」——金子光晴『ねむれ巴里』
あとがき