『フォト・リテラシー
―― 報道写真と読む倫理』
発行年 | 2008年(256頁) |
出版社 | 中公新書 |
著者 | 今橋映子(単著) |
現代社会で日々生まれ、流通し続ける報道写真。一見しただけで見尽くしたような気になり、曖昧な記憶の底に沈んでしまうことも多いだろう。しかしそれらは、写真家のどんな意図で撮影され、誰によって加工され、どのように編集・流布されたのだろうか。本書は、写真の「読み方」を、改めて問い直す試みである。作り手の立場だけでなく、見る側の力が問われている今、世界と時代とを思考するための方法を探る。さらには「メディア・リテラシー」ではなく、「フォト・リテラシー」固有の問題は何か——。著者の専門でもある「パリ写真」を例にとって「報道と芸術の葛藤」を具体的に語り、報道写真全般の問題へ、そして最後はアウシュビッツ写真にまで思考を広げ、写真の倫理の今を語る。
目次
序章
Ⅰ 写真は真実か?
第一章 決定的瞬間という罠
第二章 一枚の写真から
第三章 フォトジャーナリズムの成立
第四章 写真における「現実」
Ⅱ 写真の流通現場
第五章 組写真の時代
第六章 写真集という物語 ―― 読む倫理のために
第七章 写真と異文化表象
第八章 写真は世界を救うか
第九章 ニヒリズムを遠く離れて
あとがき/註
参考文献/図版典拠一覧